活動ホルモンと睡眠ホルモンについて

心とからだの健康づくり新聞

大切なホルモン
前回は、ホルモンについて記しました。ホルモンには色々な種類がありますが、生活の中で大切なホルモンとして活動ホルモン(糖質コルチコイド)と睡眠ホルモン(メラトニン)があります。今回はこの二つのホルモンについて記してまいります。

糖質コルチコイドとは
糖質コルチコイドは、腎臓のすぐ上にある副腎皮質から分泌されます。糖質という言葉からもわかるように、血糖値の調節に関係するホルモンです。ステロイドがベースになっていることから、ステロイドホルモンとも呼ばれています。原料として重要なのが、コレステロールです。肉や魚などから良質な脂質を接種することは、とても大切な事です。
糖質コルチコイドの主なはたらきは、血糖値を上昇させることです。血糖値を維持することは、私たちの脳や筋肉が正常に動くためになくてはならない機能です。糖新生とよばれ、肝臓でアミノ酸などの糖以外の物質からグルコースをつくりだし、血中のグルコース濃度を上げます。さらに、細胞のグルコース取り込みを抑制する作用もあります。また、糖質コルチコイドには組織の炎症を抑える作用もあります。身体を動かすためにエネルギーを作成し、生活によるストレスを軽減させるのが糖質コルチコイドです。

メラトニンとは
メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンで、体を覚醒した状態から睡眠へと切替える働きを促します。目覚めてから14~16時間ぐらい経過すると体内時計からの指令が出て再び分泌され、深部体温が低下し、休息に適した状態に導かれ眠気を感じるようになります。 眠りを誘う他、抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促したり、病気の予防や老化防止にさまざまな効果を持ちます。
セロトニンは、メラトニンの原料であり、トリプトファンというアミノ酸から作られます。トリプトファンは肉、魚、大豆製品、乳製品、ナッツ類、バナナなどに含まれています。夜中に強い照明の中にいると体内時計の働きが乱れてメラトニンの分泌が抑えられます。これが睡眠覚醒リズムが乱れる原因となりますので、活動と休息というメリハリを持った生活をすることが大切です。
メラトニンは、年齢を重ねるとともに分泌量が減ることが明らかになっています。年をとると朝早く目覚めたり、夜中に何度も目が覚めたり、若い頃より睡眠時間が減ってくるのは、加齢により体内時計の調節機能が弱まっているためと考えられています。最近ではメラトニンが不足すると糖尿病の発症率が高くなるという研究が報告されています。

ホルモンがしっかり働く生活をしよう
糖質コルチコイドやメラトニンは、自律的に作られるホルモンです。活動するためにエネルギーを効率よく作り出し、ストレスにも対抗する糖質コルチコイドと、体内の細胞を休ませ、修復するメラトニンは人が活動するためにとても大切なホルモンです。それぞれのホルモンの機能を最大限引き出すために、規則正しい生活をすることは大切ですね。元来、人は日が登ると起床し、日が沈むと就寝する生活をしてまいりました。現代の生活ではサイクルが乱れがちですが、バランスの良い食事と定期的な運動が日中の活動を維持し、不眠を解消してくれるためにとても大切です。これらのホルモンがしっかりと働く生活が人にとって一番自然なんですね。

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