運動と脳の関係性について
運動には、心身の健康維持だけではなく、脳の活性化という効能があることもわかってきました。
運動はなぜ脳によいのか。まずは、運動と学力との関係性についてです。オーストラリアのウェスタンシドニー大学と、イギリスのマンチェスター大学との共同研究によれば、「有酸素運動は記憶力の改善や脳の健康維持、老化防止に役立っている」と発表しています。また、筑波大学がおこなった研究では、ゆっくりしたペースのウォーキングやヨガのような「超低強度運動」を10分間おこなうと、その直後に記憶力が向上することが明らかになりました。運動によって、脳の記憶に関わる「海馬」の活動が活発になり、記憶システム全体が向上することが、実証されました。スウェーデンのある小学校で、運動と学力との相互関係の研究のために、毎日体育の授業が組み込まれたクラスの学力と、通常通り体育を週2回おこなったクラスの学力とを比較した結果、毎日体育をおこなったクラスのほうが国語・算数・英語において成績が優秀だったことが明らかになりました。さらにこの効果はその後何年も続くことが確認され、男女ともに3教科の成績が飛躍的に上がることが確認されたのです。記憶力の向上は、神経細胞が密に連絡をされることによりおこりますので、運動により脳細胞が活性化し、若さを取り戻すことが証明されました。
運動は脳の活性化に繋がる
BDNF(脳由来神経栄養因子)という脳内物質をご存じでしょうか。BDNFとは、脳の神経細胞の成長や維持、再生などを促す物質で、記憶中枢である脳の海馬に多く発現します。運動することによってBDNFが私たちの記憶力を司っている海馬に行き渡ることで脳が活性化するということが最新の脳科学によって証明されました。
さらに、児童期および青年期の子どもの非認知スキルの発達とスポーツ活動との関連性に関する研究によると、スポーツ経験のある子どものほうが、スポーツ経験がない子どもよりも、自制心や忍耐力、さらには困難から立ち直る力といった「非認知能力」が高いことが明らかになったのです。子どものときに運動したり、何かスポーツに挑戦していた子どものほうが、その後の人生で力強く生きられるということです。
具体的な運動内容については記させていませんが、ウォーキングなどの軽い運動から、筋肉トレーニングなどその方それぞれの継続しやすい運動を選択することが大切です。医学的な観点からは、脈拍数で観察するとわかりやすいかもしれません。正常は1分間に60〜70回です。年齢にもよりますが、軽度な運動は、100前後、強度な運動ですと140以上となります。どのような種目を選択するのか、どれくらいの強度で行うかと迷った時の参考としてください。
脳年齢や身体年齢を若く保つために運動を
若い頃陸上をされていた方がフルマラソンに挑戦されているという記事を読みました。20年以上のプランクがありますから、最初は棄権したり途中から歩いたりなど完走出来ない方がほとんどのようです。練習を継続することにより、ランニングを再開して10年経って初めて完走し、その後は少しずつタイムが上がってくるランナーの方もたくさんいるそうです。仕事を始めた頃はなかなか時間が取れずに一度やめてしまった方でも、何度でも再開でき、自身のペースで継続できるところが運動のよいところではないでしょうか。いつまでも楽しい時間を過ごしていく為に、脳年齢や身体年齢を若く保つために運動をする、これでよいと思います。